国連気候枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に向けた地球温暖化対策に関する提言

平成27年11月19日

 

一般社団法人 低炭素社会創出促進協会

代表理事 吉澤 保幸

 

COP21への期待

 2015年11月からパリで開催されるCOP21では、2020年以降の国際的な地球温暖化対策の枠組みが合意され、中長期的な低炭素社会への筋道が示されます。気候変動に関する政府間パネルの第5次報告書で指摘されているように、将来の気候変動によるリスクを低減するためには、21世紀末までに温室効果ガス排出量をゼロにするような大胆な温暖化対策が国際的に必要です。我が国としても、2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指しており、この実現のためには中央環境審議会が意見具申しているように、エネルギーや物質の大量生産、大量消費、大量廃棄によって成り立つ現代社会を変革し、省エネルギー、再生可能エネルギーや地域の自然資源を活用した持続可能な低炭素・循環・共生型社会を包括する新たな文明社会(=「環境・生命文明社会」)の構築が必須です。これは、当協会が目指す、地域から、「もの・拡大の経済」から「心豊かな暮らし」への転換を図り、人と自然がつながり、生命の輝きを実感できる新たな「環境・生命文明社会」の実現に他なりません。
 このような社会の実現のために、COP21においては従来の地球温暖化への取組みの単なる延長、拡大ではなく、国際社会全体として2℃目標を達成できるような野心的な温室効果ガス排出量削減目標を設定し、その実現のために持続可能な社会に向けて経済、社会のシステムを大胆に変革していく実効性のある合意を行うことを期待します。

 

国内温暖化対策の推進と当協会の取組

 我が国が約束草案として提出している温室効果ガス排出量の2030年度の削減目標である2013年度比26%削減は、徹底した省エネルギーの実施と再生可能エネルギーの導入を見込んだものであり、たとえば民生部門でも4割程度の大幅削減が必要であると想定されています。さらに2050年度の80%削減目標の達成にも向けて、環境と経済の好循環を達成しつつ、地域活性化と共に健康で心豊かな暮らしを実現していくことが求められています。このためには、地域ごとに多様な自然資本等の豊かな地域資源が循環する自立・分散型の社会を形成しつつ、一方で都市と農山漁村等の地域の特性に応じて適切に地域資源を補完、連携し合う、「地域循環共生圏」の形成というアプローチが有効です。
 特に、人口減少と少子高齢化が同時に進む地方においては、低炭素化政策等を通じて地域資源と資金の地域内循環を進め、結果地域の活性化や自立を図る取組み等を、地域自身が主体的に実施していくことが求められます。たとえば、地域で十分に活用されていないバイオマスや廃熱等の未利用資源を効果的に活用するために、自治体や地元事業者による先進的なシステムの導入は有効と考えられ、当協会では、そうした取組みへの助成を積極的に展開すると共に、地域への支援や助言も積極的に着手しています。これまで、具体的には、北海道釧路市、岩手県紫波町、富山県南砺市等での取組みに対する支援等を行ってきましたが、何よりも地域のニーズに適合した技術的、人的な支援を通じて、地域が持つ潜在的な力を引き出していくことが重要です。併せて、こうした先進事例等を適切に広報し、他地域での同様な取組みを促していくことも極めて重要です。
 また、環境省が提唱している「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトは、「環境・生命文明社会」の構築に欠かせぬ我が国が世界をリードしうるアプローチであると考えます。即ち、これは、森・里・川・海の繋がりを再構築し、流域等の単位での生態系の保全、自然資本や社会関係資本・コミュニティの再生をボトムアップで、かつ地域間での連携によって図っていく取組みでありますが、それによって地域にもたらされる「新しい暮らし方」自身、森林の涵養やバイオマスや再生可能エネルギーの一段の活用拡大、環境配慮型農林水産業の推進、地産地消の促進、環境経済の拡大等を通じて、温暖化対策としての大きな成果が期待されます。
 このような新たな「環境・生命文明社会」に向かう社会変革を伴う取組みは、極めて先進的モデルであり、それを示すことにより我が国として世界の温暖化対策の推進にも貢献していくことが期待されます。
 以上のような歴史的な諸状況を強く認識し、当協会としては、環境省や関係機関との連携をより一層密にし、地域における温暖化対策の取組推進のための窓口として、地域循環社会の形成や自然ストックの再生のための活動等の支援や、低炭素型のライフスタイルへの転換に向けての働きかけを今後ともより積極的に行って参ります。そして、補助金等の経済的な誘導策の活用に当たっては、プロセスの透明性の確保、その結果の評価とそれに基づく改善を行っていくべきことが極めて重要であると思量し、適切な業務執行に留意して参ります。
 また、そうした業務運営において、グリーン調達やクールビスの実施をはじめとした温室効果ガスの削減、省エネルギー活動に積極的に取組んで参る所存です。